過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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130: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 18:17:23.51 ID:iuS/I4U4o

 家具も家電もほとんどない、ガランとした部屋で布団に包まれ、天井を見つめる。
 あの後、岡部倫太郎は自分の知っている限りのあたしの情報を話してくれた。
 2010年の秋葉で、あたしは彼の設立した未来ガジェット研究所っていう組織に身を寄せていたこと。
 所属研究員──ラボメンは8人いて、あたしはその最後のナンバーをもらっていたこと。
 ラボの階下にはブラウン管工房っていう時代遅れのブラウン管テレビ専門店があって、あたしはそこでバイトしていたこと。
 ミスターブラウンっていう厳ついオヤジと、それに似つかわしくない可愛らしい少女と仲良くしてたこと。
 秋葉には、父さんを捜索しにやってきたこと。
 結局捜索は失敗して、秋葉を去ろうとしていたところを強引な手段を用いてあたしを捕獲してラボに連行したことなどなど。
 あたしは彼の話を黙って聞いて、遠い過去──いや、未来か──に思いを馳せていた。ぼんやりとした記憶の中に、それぞれの人物の輪郭が浮かぶ。けれども、靄がかかったようにあたしの視界を塞ぎ、実体の証明を許さない。取り戻したいのに、手が届かない。
 彼は自分自身についても話してくれた。
 タイムトラベルした記憶はないこと。
 タイムリープマシンっていう、記憶を過去の自分に飛ばす機械を作ってそれを祝うパーティをしたこと。
 そしたらいつの間にか1975年へ来ていたこと。
 何を言っているのかわからないとは思うけど催眠術だとか、超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃ断じて無いってこと。
 記憶を取り戻せずに不安なのは一緒なのに、あたしの心情を察したのか、元気づけようと一生懸命大げさな振る舞いで語る彼。そんな姿があたしの胸をとても暖かくした。
 同時に、また顔が赤くなるのを感じて、思わず布団で頬を覆ってしまう。


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