過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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169: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/08(木) 13:32:38.86 ID:OOOkqekxo
「俺が行ってくる」

「え? でも……」

 普段些細なことで言い合っている彼が行っても火に油を注ぐだけじゃないかな、とは思った。けれどどう声をかけていいか皆目検討もつかないあたしは結局任せることにした。

「助手の監督不行き届きは俺の責任だ。俺がなんとかしてこよう」

 そう言って彼は口元を綻ばせながら出て行った。
 その夜、彼らは戻らなかった。あたしはゆっくりと冷めていく食事を眺めながら考えていた。
 自分の過去のこと──
 これから訪れる未来のこと──
 けれど、思い出そうとすればするほど得体のしれない不安に胸が押しつぶされそうになった。思い出すべきではない、と体が訴えているようだった。
 押しつぶすように両膝を抱えて座っていると、ふと1枚の紙が目に入った。牧瀬紅莉栖の所有する本に挟まり隅がはみ出した1枚のメモ。
 あたしは両手両膝を畳につけながらそのメモの近くまで寄った。メモには数字が書かれていた。


 ×.615074


 一番左はばってん。そして点その後に6桁の数字が並んでいた。
 なんの数字だろう。証券取引に使う金額か何かだろうか。こんなメモのことまで気になるなんて今のあたしはどうかしている。再びテーブルの前に座して思い悩む。
 結局あたしにはどうすることもできない。何もできずにいる自分がただただ悔しかった。今あたしにできることは信じて待つことだけだった。記憶が蘇らない自分が腹立たしかった。


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