5: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/10/09(金) 17:57:34.19 ID:FKMhud4no
「あれ……なんかおかしくない?」
ふと奇妙な違和感に駆られた胡桃が呟く。
「え?」
「ナニガ?」
「前フリ?」
「違くて! うーん、なんだろ」
釈然としなさそうな顔をする胡桃。他のメンバーは不思議そうにーー
「………………」
『っ!?』
していたが、唐突にそれの存在を感じてばっと振り向いた。
「うっ、うわぁぁああぁ!」
「な、何これ!?」
そこには不思議なものがいた。
丸みを帯びたフォルム。大きさは白望の背丈の三分の一ほどで、ヒトの形をしている。
宮守の制服を模したような、人形に着せたならこんな感じというふうな出で立ちだ。
そして宮守のメンバーにとって何より特徴的なのは。
「何ていうか……」
「……うん」
『塞…………?』
その見た目は、宮守の一員である塞をアニメか何かのマスコット風にデフォルメしたようなもの、であった。
「………………」
塞風の謎の物体は言葉を返さない。しゃべらないのか、しゃべれないのか。
何より。これは一体、何ものなのか。対峙する宮守のメンバーの表情に緊張が走る。
「うわー何これ、さえにちょーそっくりだよー!」
訂正、一人を除いて緊迫に包まれていた。
「と、豊音……そいつ危ないよ」
警戒感の欠片もなく、今にも近づいていきそうな豊音を警告する塞。
「あ、うん。近づかないでおくねー」
あまり危機感は抱いてなさそうな素振りで豊音が一歩距離をとる。
そのとき。
「………………」
「あ、お辞儀した!」
「決闘の作法……?」
胡桃と白望がそれぞれに言葉を発する。そう、塞風の謎の物体はお辞儀したのだ。
これは何を意味するのか。再び皆の顔に緊張が走る。
「サエボン!」
いや、エイスリンだけが緊張感を霧散させ、唐突に名前、のようなものを叫ぶ。
そのとき、一部のメンバーに落雷に打たれたかのような衝撃が走る。
「……塞、ボン……?」
白望が反芻するように繰り返す。その前後、緊迫したムードが流れる中で、時間が止まったかのような感覚を皆が覚えていた。
「そうだ、これは塞ボンだ!!」
「えっ、何それ」
こうして、この日、宮守に新たな一員が加わったのだった……。
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