6: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:31:27.88 ID:jcjK0Bse0
だから……わたしは、誰も期待しないような子になろうとしていました。
砂糖菓子の弾丸も、実弾も撃たず。
現実と戦うことを拒否して……
7: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:32:24.57 ID:jcjK0Bse0
ずっとそんな風だったから……
あの時の私はきっと、どうかしていた……んだと、思います。
もしかしたら、わたしなりの反抗期、だったのかもしれません。
学校の他の女の子たちが、髪を染めたり、スカートを短くしたり。
8: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:33:45.25 ID:jcjK0Bse0
幼い頃に見たテレビ番組。まだ優しかった両親。
ラジオで流れていたコマーシャル。
砂糖菓子の、弾丸。
携帯で、公式サイトを確認しました。
9: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:34:59.33 ID:jcjK0Bse0
次の日の朝。
少しだけ早めに家を出て、通学路の途中……
人通りの少ない道に置かれている郵便ポストの前で、わたしは立ち止まりました。
右を見て、左を見て、もう一度右を見て。
10: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:35:41.64 ID:jcjK0Bse0
ああ……これで。
これでわたしに、もう思い残すことはありませんでした。
11: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:37:08.64 ID:jcjK0Bse0
わたしの中の、ありったけの勇気を振り絞って。
わたしは、砂糖菓子の弾丸を撃ちました。
それはきっと、誰に当たるということも、何かを壊すということもないけれど……
そんな勇気がわたしの中にあったという事実だけで、わたしにとっては十分でした。
12: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:37:40.52 ID:jcjK0Bse0
だから……
二次審査、オーディションの開催日時を知らせる手紙がわたし宛に届いた時、わたしはとてもうろたえました。
13: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:39:23.74 ID:jcjK0Bse0
「わたし、きっとここに来るべきじゃなかったんです」
そう言って、わたしは顔を伏せます。
人混みはもともと、こわくて苦手だったけど……
それ以上に、わたしに分不相応な場所のように思えて。
14: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:40:25.36 ID:jcjK0Bse0
きっと、何かの勘違いだったんだ。
そう思って、引き返して家に帰ろうとしたわたしを、あなたは呼び止めました。
混乱するわたしを落ち着かせて。
15: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:41:39.73 ID:jcjK0Bse0
この人が、わたしを見て……
わたしの話を聞いてくれる、人生最後の人になる。
そう思って、背の高いあなたの顔をわたしは目に焼き付けます。
優しそうな人。
16: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2015/10/11(日) 02:42:24.16 ID:jcjK0Bse0
君が望むのなら、君をアイドルにしてあげる、とあなたは言いました。
プロデューサーをやっているのだ。
君の応募書類を見て、オーディションを楽しみにしていたのだ、と。
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