過去ログ - 【アニマス×デレアニ】「夢の頂上決戦!765プロvs346プロvs961プロ」
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その十『 絆 』
[saga]
2015/12/08(火) 23:12:40.73 ID:SwM7fNx1o
――――――
春香はある人物を探して走り回る。
……見つけた。
「千早ちゃん」
その呼びかけに、千早は背を向けたまま返す。
「……話しかけないで。今の私達は、」
「ううん」
首を振る。
「なんだかもう、どうでもよくなっちゃった」
「……?」
突拍子もない春香の言葉に、少々の驚きと共に振り返る千早。
振り向いた先には、ゆっくりとこちらへ歩み寄る春香の姿。
「理由は分からないけど……千早ちゃんが全力で歌おうとしてる。――なら」
「私は、全力で受け止めてあげる」
「……」
「気付いたの……もう、何でもないんだよ。千早ちゃん」
「”距離”や、”立ち位置”じゃない。”私達の関係”……」
「 ”友達” ”仲間” ”親友” ”家族” ……”敵” 」
「……私達は、そのどれでもない」
「だって、ふたりが積み重ねてきた年月を表す言葉なんて、どこにもないんだから」
「ただの、 ”天海 春香” と ”如月 千早” 」
二人の間には、数mの距離。
まっすぐにぶつかり合う視線。
「きっと、今の千早ちゃんを受け止められるのは、私しかいない」
「だから……千早ちゃん」
微笑みながら、両手を広げる。
「全力で――かかっておいで♡」
「……っ!」
春香らしくもない、相手を挑発する言葉。
だがそれは紛れも無く、春香から千早へと向けられた言葉。
その言葉を聞いた瞬間に千早が感じたのは、ふわりと、浮上した感覚。
きっと元が優しい彼女は、無意識のうちにリミッターをかけていたのだろう。
かつての同僚に、仲間に、全力が出せるわけがないと。
だが――
「なら、遠慮なく……そうさせてもらうわ」
千早は口角を上げ、にっと笑う。
「どっちが勝っても、恨みっこなしよ」
「うん」
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