過去ログ - 千早「12色のクレパス」
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48:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 16:41:28.28 ID:wlnW7ggg0
 とある日のことです。

 夕刻時、仕事を終えて事務所に戻り、次の仕事の段取りを行っている時でした。
 事務所のぱそこんにてめぇるを確認し、調整先と電話で交渉するのも、慣れたものです。


 機械的に先方と仕事の話を終え、電話を切り、一息ついた時――。
 事務所に、響とやよい、真美が入ってきました。

 不振にあえぐ765プロ肝煎りの対策の一つとして、この三人でユニットを組む――。
 そんな話を耳にした記憶はございました。
 三人とも、その幼さゆえに、業界関係者との駆け引きを含む交渉が苦手な者達です。


 響は、私の顔を見るなり、大層喜んだ様子で、私に励ましの言葉をかけてくれました。
 ドラマの主演決まったんだな、おめでとう! 貴音ならなんくるないさー! と――。

 やよいと真美も、765プロ一の稼ぎ頭だ、大根柱だ、などと彼女達なりに褒めてくれます。

 ――そうですね。おそらく、大黒柱と言いたかったのではないかと。


 大変、失礼ではあるのですが――。
 彼女達から浴びせられる数々の激励、称賛の言葉は――私にとって、苦痛でした。

 無論、彼女達の言葉が本心から来るものであることは、疑いようがありません。
 しかし――皆のことを顧みぬ私に、そのような言葉を預かる筋合いがあるのでしょうか。


 お前は冷血な人間だ、皆と団結する気が無いのか、などと――。
 いっそ、私を責めてくれさえすれば、どんなにか気が楽になれたことでしょう。

 あるいは、春香も――同じような思いだったのかも知れないと、この時思ったものです。



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