過去ログ - 【R18】「粉雪が身体を冷やすから…」【モバマス】
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4:名無しNIPPER[saga]
2015/10/25(日) 17:37:03.37 ID:gPJ/lNL8o



1.

彼女がアイドルだと、彼氏としては苦労の連続である。

ましてや、それがトップアイドルならば尚更の話だ。

「ども、機材持ってきましたー」
「ああ、サンキュ。そこに置いといて。あ、これ終わったらヒマ?」
「えっと… 第2スタジオに呼ばれてるんですけど?」
「じゃあ、その後でいいからさ、コッチに戻って手伝ってくれる?」

業界大手の芸能プロダクション、美城プロ。

専用スタジオさえ抱えるその巨大なビルは、当然のようにその維持管理に多くの単純労働力を必要とする。

これが一般企業であれば、適当なビルメンテナンス会社や、清掃業者、電装業者に依頼するのだろうが、
そこは有名人が多数所属する芸能プロダクションである、一筋縄にはいかない。

ファン程度ならば問題は少ないが、バイトに紛れて醜聞を狙うパパラッチが潜り込まないとも限らないのだ。

だから、「彼」のような“口が堅く”“アイドルと親しい”“芸能界に無縁”のアルバイトが、意外と重宝される。

「いつも悪いね。あ、十時ちゃんとは最近会えてるの?」
「まぁ、美城のビル内でぼちぼちと… アイツ、大学にはほとんど来れないんで」
「大学行くときには連絡いくと思うから、その時はガード頼むよ」
「はい」

顔見知りのスタッフから声をかけられ、彼は快活な笑顔で頷いた。

「…わっかんねぇなぁ、芸能界って…… 愛梨がアイドルだもんなぁ……」

有名私大に入れる程度の学力、運動部でレギュラーを取れる程度の運動神経、下級生からラブレターを貰う程度のそこそこのルックス。

高スペックではあるが、彼はどこにでも居る大学生でしかない。

しかし、彼は普通でも、彼の彼女は普通ではなかった。

『初代シンデレラガール 十時愛梨』

346プロのそこかしこで見かけるそのポスターを見るたびに、彼は苦笑する。

彼の彼女、十時愛梨は、おそらく日本中の誰もが知っているトップアイドルなのだ。



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