過去ログ - 魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」
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50: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/10/31(土) 19:18:52.60 ID:Bi9M//EB0
魔姫「…っ、離せっ!」ドカッ

王子「っ」

魔姫は正面から、王子の腹に蹴りを入れた。
王子がひるんだのと同時、後ろに逃げて距離を取る。

王子はしばらく、そんな魔姫を見つめていて――魔姫はその目つきに恐怖心を覚えたが――やがて、

王子「ふぅ、これ位にしておくかな」

そう言って王子は引き下がった。

王子「あぁ魔姫様。逃げ出そうとは考えない方がいいよ。あまりおイタするようじゃ、僕にも考えがあるからね」

魔姫「……っ、うるさい、消えなさい!」

王子「ふふっ、それじゃあね」

そう言うと王子は部屋を出た。
魔姫はドアに耳を当て、王子が遠ざかっていく足音を確認する。

魔姫「……」ドサッ

気が抜けたのか、魔姫はそこに膝をついた。

魔姫(キス……)

魔姫(奪われた……初めてだったのに……)

魔姫「う、ううぅっ」


ぽたぽた涙が落ちる。
大事にしていたものを、こうも簡単に奪われて。

魔姫「最低、最低、最低ーっ!」

八つ当たりのように壁を何度も殴る。

この感情を怒りだけに収められたらどれだけ楽か。
今は怒り以上に、辛い気持ちが抑えられない。

魔姫「ううぅ…あああぁぁぁっ!!」

遂に、床に伏してしまった。
大声で泣いても、叫んでも、どうしようもないとはわかっているけれど。




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