過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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27:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:22:49.23 ID:08xPns3X0


九月十四日 午前七時 福岡・テレビ新東京中継局


そんな苛烈な戦闘映像を前に、遠坂圭吾は拳を白くなるほど握っていた。

今すぐにあの場へ飛び込んで、戦友たちと肩を並べ、戦いたい。
自分の整備の腕で、少しでも仲間を支えたい。

そんな欲求が脳を、体を、興奮させ続ける。

映像ごし聞こえてくる、5121と駆けつけた学兵らの、ガンパレード・マーチのせいもあるだろう。
全員の声が、互いを奮い立たせ、励まし合いながら、戦場に響き渡っている。

「みなさん……わたしはっ」

自分の戦いは、ここにある。
分かっている。
狩谷の作ったプログラムセルによって、士魂号を通して見る厚志の視界を、そのまま映像としてこちらに送る。
そしてそれを、全国に、遠坂財閥テレビ新東京から、臨時放送で流すのだ。

画面では、学兵らの突撃軍歌にかぶさり、突撃レポーター桜沢レイが必死で訴えかけている。
彼らはこの国のために今も戦っている。
彼らを見捨ててはならない。
文言は陳腐そのものだったが、その声、その心は、真剣そのものだ。伝わらぬはずはない。

「お願い、届いて……お願い……!」

中継機の前で、田辺真紀が両手を組んで祈る。

遠坂にはその後ろ姿が、まるでその頭上に光輪をたたえた、天使のようにも見えた。

そうだ。届け。届いてくれ。
この祈りが届かない世界なら、価値などない。
信じさせてくれ。
この世界には、まだ、価値があると。

遠坂も、拳を胸の前に。
気が付けば、懸命な祈りに加わりながら、突撃軍歌の唱和に加わっていた。





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