過去ログ - 白坂小梅「あの子を……探してるんです」九十九一希「と、片目を隠した少女は言った」
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42:名無しNIPPER[saga]
2015/11/12(木) 19:19:46.96 ID:nmKq4XR30

一希「いや、見つからなかった」

小梅「えぇ……そうなの。残念……」

一希「それも当たり前だった。存在しないんだ。そんな本は」

小梅「え」

一希「とある推理小説――いや単に推理小説と言うには語弊がある奇書に、その名前は登場した」

一希「そのウイチグス呪法典のことは、衒学的でさえある圧倒的なディティールと迫真性とともに説明されていたんだ」

小梅「でも……本当はないんだよね?」

一希「ああ。着想は別のところにあるにしろ、ウイチグス呪法典それ自体は作者の創作だった――おれは、それを信じてしまった」

小梅「そうだったんだ……よく、できてたんだね」

一希「ああ。実際、そんな本は無いと知った時、失望よりもむしろおれは感銘を受けた。在りもしないものを在るとする、小説の……物語の魔法に魅せられた」

小梅「……ないのが、ある」

一希「あると、感じたんだ。いや過去形はおかしいな。今でもまだ、その本はどこかに存在しているんじゃないかと思っているから」

小梅「……おにいさんの中では、あるんだね。……それじゃあ、それって、本当にあるのと同じ、だね」

一希「……ああ。細部にこだわることで初めてリアリティが生まれると、そう実感をともなって学べたんだ」



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