過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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27:名無しNIPPER[saga]
2015/11/21(土) 21:45:17.85 ID:02MC1cTgP


 風魔協、総務室。



 廃校になった小学校を改装して作られた公民館が、世界を裏から守る魔法少女たちの事務所だった。

 風魔協の表向きの顔は学生ボランティアのコミュニティで、『魔法少女』という単語の入っていない名義で公民館が借りられている。



 現在は会計処理が一段落付いたところである。

 魔法少女であろうと無かろうと、女学生の財布事情は常に厳しいのだ。



織莉子「ええ、それじゃあ今日はこの辺で終わりにしましょう。後はお願いしますね」


アサギ「はーい」


織莉子「・・・そういえばアサギさん、簿記の試験勉強をしているって本当?」



 アサギと呼ばれた魔法少女は慌てて「いや、その・・・」などと誤魔化しの言葉を探したが。

 嘘がつけない自分の性格を思い出し、やれやれと肩を竦めて観念した。



アサギ「やっぱり織莉子さんには筒抜けかぁー・・・。
     あの、えーっと、そう・・・ですね。私こういうの得意みたいですから、長所を伸ばそうかなって。
     多分、こんな資格を使う前に円環の理に迎えられちゃうと思いますけどね」



 一応補足しておくと、『将来の話』をすることは、どの魔法少女にとって気恥ずかしいものなのである。

 『大人になったときのこと』は、魔法少女にとっては叶うかどうかわからない夢のようなものなのだから。



織莉子「そうかもしれないわね」


アサギ「そこは否定して欲しかったなー・・・」




 ガックリと肩を落とすアサギに、織莉子は優しく微笑んでアサギの手に自分の掌を重ねた。



織莉子「でも、きっと大丈夫。大切なのは前に進み続ける意思なの。

    あなたがそうやって未来を想って生きている限り、決してあなたは絶望したりしない」


アサギ「はー・・・、なんか織莉子さんの言うことは尊いですねぇ。私と同年代の少女っぽくないって言うか・・・」



 アサギはなんとも言えないような表情で、頭をかく。



織莉子「あら、この答えじゃ不満だったかしら?」


アサギ「いえいえ、大満足ですよ。力の続く限りやってみます。ありがとう織莉子さん」


織莉子「ええ、がんばってね」



 ひらひらと手を振って織莉子を見送った後に、アサギは帳簿を最終チェックする。

 抜けひとつ無い完璧な会計だ。

 魔法少女でさえなかったのなら、彼女は将来きっと・・・。


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