過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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32:名無しNIPPER[saga]
2015/11/21(土) 22:04:57.97 ID:02MC1cTgP


 しかし長い付き合いで相手の腹の内がわかるようになるのは、小巻も同じだった。



小巻「美国さん・・・、あなたって本当に腹立たしいわね!」



 織莉子の計略を全て見切ることはできなくとも、何かネチネチと計算しながら交渉をしていることは、なんとなく伝わっていた。



織莉子「・・・やっぱり少し卑怯な言い方だったかしら?」


小巻「そうやって見えないところで人の心を操ろうとしているところもそうだけれど!

    アンタが何を考えているのかさっぱりわからないのが気に食わないのよ!」


織莉子「・・・」



 織莉子は少しだけ自分の傲慢さを恥じた。

 完璧に悪意を隠して『誠実で単純な人間』を演じることなど、自分にはできないのだと痛感した。

 人が人を騙し切るということは、言うほど簡単ではないのだ。



小巻「まぁーでも・・・。一応反対はしてみたけれど。

    アンタのことだから、考えなしだとか悪意に身を任せた行動だとかじゃないでしょうし」



 小巻は椅子に座り直して、織莉子の目をまっすぐに見た。

 濁りのない、心から相手を信頼している瞳だった。



小巻「だから素直に『助けてください、お願いします』って言うなら、私はそれを信じてあげる」


織莉子「・・・」



 織莉子はもう1つ大切な教訓を得た。

 人が人を動かす時、相手の心を支配する必要などないのだと。

 改編前の世界にて、織莉子がこの結論を既に知っていたのなら、鹿目まどか暗殺も違ったものになっていたのかもしれない。



織莉子「私一人では、とても不安なんです。

     私は賢いけれど、私自身は・・・とても弱い。生きて帰れる気がしないの。

     だから・・・助けてください、お願いします」



 小巻はニヤッと笑って、満足そうにうなずいた。



小巻「いいわよ、頼まれてやるわ」




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