過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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31:名無しNIPPER[saga]
2015/11/21(土) 22:00:13.99 ID:02MC1cTgP

 最も、織莉子の推理は、『利己的な魔法少女による犯行』の線でほぼ固まっていた。

 織莉子はそういうことを平気でやるような魔法少女を既に一人知っていたからだ。



 カルテルによるグリーフシードの利権調整や、カーストの発生を嫌って、

 あえて『組織』ではなく『徒党』であることを選ぶ魔法少女もそれなりに存在する。

 見滝原の魔法少女たちがそれだ。

 組織の一員として生きるのも大変だが、明確なルールを持たないまま集団で行動し続けるのはもっと大変だ。

 だが見滝原の魔法少女たちはそんな大変さを平然と切り抜けていて、悔しいが結束の強さと個々の実力は風魔協のそれよりも遥かに上だ。

 だからこそ彼女たちが魔獣と正面から戦って同時に討ち死にするなど、想像ができなかった。



織莉子「暗殺者であるにせよ、大物の魔獣であるにせよ。

     いずれにしてもこのまま野放しにしておくわけにはいかない。

     私たちの町を守る為にも、見滝原で何が起こっているのかを調査する必要がある」


小巻「そ、それを私に話すってことは・・・」


織莉子「ええ、少数精鋭が望ましいの。ちょうど春休みだし協力してくれたら嬉しいわ」



 織莉子はにっこりと微笑む。

 話の中で暗殺の可能性を強調したのは、織莉子流のゆさぶりだった。

 織莉子は小巻の性格をよく把握していたからだ。

 小巻は、『臆病』で『凡庸』で『高慢ちき』で・・・『正義感がある』。

 こういう言い方をすれば、彼女は断ることなどできないと知っていた上での挑発だった。



小巻「・・・」


織莉子「それと、協力するにしてもしないにしても。

     このことは誰にも言わないで、あなたの胸にだけ秘めていて欲しいの。

     相手が何をするのかわからない以上、下手に騒ぎ立てて刺激するのが一番危険だと思うから」



 これもまた小巻への挑発である。

 『もしあなたが断ったら、私は単身で見滝原の調査へ行くぞ』、という自分を人質にした脅迫だ。



 ここで断ったとしたら、小巻はずっと後ろ髪を引かれる思いで毎日を過ごすことになるだろう。

 小巻がそういう後ろめたさに耐えられないことを、織莉子はよく知っていた。



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