過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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495:名無しNIPPER[sage]
2016/10/25(火) 22:50:57.44 ID:2uDGS4b5P

 カガリのこの病状に根幹にあるのは、異様なまでの自己評価の低さだ。

 常に不信感でいっぱいなのである。

 両親たちの愛情が双子の妹に偏重し、いきなり母親と死別し、母親代わりの世話人が次々と代わっていく。

 人格の形成段階でそんな不安定を経験したが故に、

 彼女は「本当にこの相手は自分を愛しているのか」ということを試さずにはいられないのだ。


 奇怪で攻撃的な行動は、「自分を心から愛して欲しい」という悲痛な叫びなのだが。

 残念ながら、その声に応えてくれる人間は一人も存在しなかった。


 もしかすると、その最初の一人になってくれたかもしれない者はいたが。

 その者も結局、カガリの前から逃げ出してしまった。



 この度重なる不安定により。

 カガリは自分の中でついにこう結論付けてしまった。


「自分は愛されない存在なのだ」と。


 誰からも愛されなかった者は、誰も愛さなくなる。

 悪魔染みた少女が、本物の悪魔になった瞬間だった。



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