過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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54:名無しNIPPER[saga]
2015/11/21(土) 23:04:10.91 ID:02MC1cTgP

 ホ オ ズ キ 市 、 某 所 。



 彼女の心の中で、ドロドロとした悪意が渦巻いていた。

 酷くおぞましく、もう見れたものではないほどに腐敗した悪意だった。



「ふぅん、へー、なるほど」



 『異端者』



 魔法少女としての彼女を形容するに、それが最もしっくり来る例えだった。

 彼女はどうしようもないくらい異常で、異形で、異彩を放つこの世の異物だった。



「スズネちゃんは、ツバキだけじゃなくて・・・マツリまで私から取っちゃうんだぁ・・・」



 可愛さ余って憎さ百倍という言葉がある。

 強い愛であるほどに、それが負の方向へ転じたときに大きな憎しみが生まれるという意味だ。

 彼女の心の中にある全ての愛情が、憎悪へと変わり始めていた。

 それはさながら、かつての魔法少女システムのよう。

 希望から絶望への絶対値を保ったままの感情の転移が、

 魔女化というプロセスを介在せずに発生していた。



 大きな祈りを抱けば、それと同じだけの絶望が生まれるというのは。

 インキュベーターが介在するまでもなく、

 人類が最初から持っている原罪だった。



「ねー、キュゥべえ。私の願い事、決まったよ」



 彼女は異端者だった。

 魔法少女に類する存在でありながら、救済の女神である円環の理を憎む異教徒で。



「私を円環の理が壊しちゃえる悪魔にしてよ」



 円環の理によって改編された『希望が絶望で終わらない』という世界で。

 改編される前の世界よりも絶望的になっている、異例の魔法少女だった。



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