56: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/17(火) 21:21:06.64 ID:24ZtkVrg0
頑張る。
そう言った。
しかし、頑張っても届かなかった。
理由はいたって単純明快。
この前の一件で味を占めたあの2人が毎日のように書類を持ってくる。
いくら事務作業に多少の自信がある俺でも、3人分など、とてもじゃないが勤務時間内には無理だ。
ではどうするか、持ち帰り、業務をするか。
そう思ったが、家でまであの二人のことで縛られたくは無かった。
それではどうするか。
俺の決断は、朝早く出社することだった。
他の社員より、2時間以上早く出社し、作業に没頭した。
部長には少し怪しまれたが、上手く言い訳をしたら、その調子で頑張ってくれ、という感じだった。
既に1ヵ月が経過して尚、それは日に日に酷くなっていった。
会社に来ない日まであるほどだ。
それからも、俺は凛に、輝く舞台に立たせることができなかった。
それでも頑張った。
何故なら、凛が応援してくれるから。
凛が信じてくれるから。
凛だって周りとの格差を感じていないはずは無い。
それでも文句を言わずに地道にレッスンを頑張ってくれている。
それなのに、俺が先にリタイアなんてできる訳が無かった。
それから半年後の事だ。
結局俺は、半年間他の2人の書類を抱えて仕事をしていた。
それでも何とか、出番は短かったがテレビの仕事はもらったし、小さなイベントにも出してあげられた。
だが結局そこ止まりだった。
人と話すのは、多少は上手くなったかもしれないが、あの2人からの書類の処理に追われ、なかなか外回りに出れていないという現実だった。
バレていないことも不思議だった。
上手く立ち回っているのだろう、だからこそあれだけの仕事をとってこれるのだ。
その中、断ろうと何度も思った。
しかし、断ろうとする度に、中学高校とあった、スクールカースト最上位にたてついた奴の末路を思い出し、出来なかった。
あのプロデューサーは既に346プロダクションアイドル部門の稼ぎ頭になっていた。
逆らったら最後、会社をクビになるまで有り得たのだ。
凛のためにもそうなるわけにはいかず、我慢を続けた。
そんな日が続いていたとき。
例の事件が起こった。
凛が事故に遭うという、最悪の事件が。
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