過去ログ - 高森藍子「もういいかい」
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15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 18:56:13.35 ID:6LZx9kqto

 「――藍子! 藍子っ!」

Pさんの上擦った呼び声と、階段を転げ落ちる鈍い音とが同時に聞こえました。
呆気に取られる私達の前で数秒だけ顔面を抑え込むと、すぐに駆け寄って来ました。

 「藍子!」

数歩前で急ブレーキを掛けて、言葉を探すように忙しなく手を浮つかせます。
寝不足の隈を浮かべて、おでこに真新しいアザを付けて。
心の奥の感情をぶつけようとするみたいに、大きく息を吸い込みました。


 「――高森藍子!」


美嘉さんと一緒に膝から崩れ落ちました。

 「……アンタねぇ、少しは落ち着きなよ」

 「うん。そうだね」

 「落ち着くの早いよ何なの」

 「すみません、こういう人なんです……」


Pさんが眼鏡を確かめて、諦めたように息を吐きました。
胸ポケットへ差し込んで、それから私へ向き直ります。


 「最高だった」


たった一言。


その一言に、色んな感情が篭められているのが伝わって。



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