26:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 23:10:50.19 ID:K0pC2q+ao
「バカねぇ……」
全てを話し終えると――実際は途中だったのかもしれないけど――部長は私の頭を胸に抱き寄せて言った。
「何で話してくれなかったのよ」
顔は見えないけど、部長は泣いているようだった。
「泣いてるんですか?」
少しからかうように、部長の背中を出来るだけ優しく叩きながら言う。
今まで溜め込んできたものを吐き出したからか、部長が泣いているからか、私は意外と冷静みたいだ。
いや、あの部長をからかっている時点で少しおかしいのかもしれないけど。
「あなたが泣いてないから、私が、泣いてるんじゃない……」
「え……? 私はもう……あぁ……」
あぁ、そうだったんだ。過去にしていたのは私だったんだ……。
最後に和ちゃんのことで泣いたのはいつだっただろう?
よく覚えてないけれど、たぶん別れてから一ヶ月後くらい。
それに感情のまま大泣きしたことはなかった。
それからは後悔したり、悲しくなったことはあったけれど、泣いたりはしなかった。
きっといつの間にかあの時の感情を、記憶にしてし
まっていたのだろう。
だから泣かない。
だから何時まで経ってもくすぶり続けている。
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