過去ログ - 【らっきょ福音】両儀夫妻の日常会話
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14:RB20DETTT ◆Rnna8vyZW.[sage]
2015/11/06(金) 21:17:20.02 ID:ofSQU2xk0
事実、彼女は優秀な母親だった。昼夜を問わず、娘の求めにいつでも応じる。
かと言って、いたずらに与えることはなく、ダメなことはピシリと言って聞かせる。
やはりなんだかんだ言っても、素性は良家のお嬢様なのだ。
一瞬、はにかんだ様に見えた彼女は、口元を歪めて、すぐに切り返す。
「お前こそ、その親馬鹿っぷり、予想通り過ぎて呆れるぞ。自分の娘に嫉妬するなんて、思ってもみなかった」
微かに染まった頰。わずかな抗議を含んだ視線が、僕のすぐ近くから見上げる。
「あぁ、目に入れても痛くない…って、このことかな」
「片方、ないくせに」
「あ、その言い方はないんじゃないかな」
「…ゴメン、悪かった」
二人の間を、朝の澄んだ風が吹き抜け、秋に染まった紅葉が揺れる。もはや恋人と呼ぶには面映い。
かと言って、ありふれた夫婦にしては近過ぎる精神的距離。双方向の憑代。
「…欲」
「ヨク? ヨクって、なに?」
「さっきのお前の質問への答えだよ。オレの… いまの気持ち。ってゆーか、三大欲求」
「えっと、食欲、睡眠欲… それから、何だっけ?」
「それ以上言ったら殴るぞ。出掛ける。泊まりの用意しろ」
背を向けて、屋敷へと歩き始める彼女。その横顔が、いまや紅葉色に染まっていたのは目の錯覚か。誘われる様に、その背中を追う。
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