過去ログ - 勇者「デブと一緒に旅に出ることになった」
↓
1-
覧
板
20
135
:
◆LsZ4kFgXss
[saga]
2016/01/11(月) 23:40:18.70 ID:Dol/ulpX0
壁の陰から現れたのは、ビール腹を揺らした肥満児であった。
皇帝と女騎士の間に漂うただならぬ雰囲気を察知して、こっそり盗み聞きをしていたのだ。
勇者の持っている聖剣は偽物だとか、そうでないとか。
てっきり愛の告白かと警戒していたデェブは、思わぬ話題に拍子抜けした。
そして、今度は勇者のことについて興味が湧いたのだった。
デェブ「女騎士さんが皇帝のモノになっちまったら、僕の野望が崩れ去るからね」
皇帝「余が愛しているのはソラトだけじゃ。妙な誤解をするでない」
女騎士「わたくしも公私を混同するほど、愚かではありません」
デェブ「すまねぇすまねぇ、僕も気が逸ってたんだ。ところでさっきのは何の話だ」
皇帝「ヒヴァラを奪還した後についてじゃ。汝には関係なかろう」
デェブ「嘘をつけ、勇者がどうだとか言っていたぞ。僕の聴力を舐めるなよ」
肥満児の毅然とした面持ちに皇帝は、もはや隠しきれないと観念の目を閉じた。
結局、いつか明らかになることなのだ。
デェブ「勇者やソラトやハゲには言ってあるのか?」
皇帝「ハゲは余から伝えた。あとの二人には絶対に伝えてはならぬ」
デェブ「なんで?」
皇帝「勅命じゃ。言ってはならぬぞ」
ソラトと勇者本人には、その反応を恐れてまだ伝えていない。
魔王の末裔だと決めつけられて、嬉しい人間などいるはずないからだ。
愛する皇妃は自説を受け、どう思うのだろう。
あれほど楽しげに話していた勇者が討伐対象だと判明し、彼に弓を引くことができるのか。
それとも、魔王側に寝返って彼と共に歩むのか。
女騎士「ではわたくしからデェブ様にお話をします」サッ
女騎士「ついでに先ほど遭遇したダークエルフについても報告したいので。陛下もお聞きください」
皇帝「ふむ、なら好きにするとよい。余は湯の香りを優雅に楽しみながら汝の話を聞くとしよう」
彼は再び手すりに両肘を乗せて、観光客を数える作業に戻った。
どうして神は、自分を今の世に送り出したのか。
平和な場所の、平和な時代の、普通のつまらない皇帝でいたかった。
魔王と対峙するような、血肉躍る冒険は自分に似合わない。
女騎士「陛下、大丈夫ですか」
皇帝「う、うむ」
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
157Res/227.16 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - 勇者「デブと一緒に旅に出ることになった」 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1446897815/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice