過去ログ - 勇者「デブと一緒に旅に出ることになった」
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51: ◆LsZ4kFgXss[saga]
2015/11/17(火) 21:23:36.72 ID:7iSyYQx3O
先陣を切った三騎が射落とされたのを見て、残りの村人は浮き足立った。
いくら騎馬兵といえども、元は土いじりを本職とする農民である。
戦の経験はもちろん、剣をろくに振るったこともない。
そんな雑兵の寄せ集めなど、少し刺激を与えれば簡単に崩れ去るものだ。

騎馬兵D「ひっ退けー! やっぱ怖ぇ!」パカラ

騎馬兵E「おいら、牛の乳搾りさまだやっでねぇっぺよ! 家さ帰るべ!」ドヒュ-ン

騎馬兵F「女房とガキを残して死ぬわけにゃいかねぇもんな!」ダダダ

勇者「殺してないのに、みんな世界の終わりみたいな顔して逃げていきやがる」

ハゲ「して、矢を放った者は誰か?」

ソラト「あたしよ」ツルヲユビデハジクッ

勇者「君が……手綱を握る騎馬兵の手をピンポイントで射抜いたというのか!?」

ソラト「えぇ。弓術には自信があるの」

ハゲ「弓に刻まれている紋様の見事なこと見事なこと。鏃は深淵のサファイアで作られている。高貴だ……拙僧も見たことがない」

ハゲ「何故そなたが持っている? 米一粒さえも返せない者がなぜ? よもや、盗品ではあるまいな?」

ソラト「事故で亡くなったお母さんの形見よ。家財道具一式を全て売り払っても、この弓と矢だけは手放さなかった」

勇者「なんで?」

ソラト「だって、一時の空腹を満たすためにお母さんの魂を売るなんて、言語道断だもの。人間のする所業じゃないわ」

ソラト「さぁ、三頭だけど馬も手に入ったことだし、先を急ぎましょう。夜が明ける頃には帝都に着きたいところね」

勇者「えっ、では君は俺達と一緒に……」

勇者が言葉を紡ぎ終えるまでに、ソラトは馬の腹を蹴って走り出していた。








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