15:名無しNIPPER[sage]
2015/11/08(日) 22:59:54.66 ID:QAml1PvFo
私達のサバイバル生活は唐突に、そして呆気なく幕を閉じた。
ちひろさんの車で町に向かった私達は数ヶ月振りの入浴と普通の食事を摂った後、
健康診断を受けた。みんな多少の栄養不足と痩せ気味であった程度で他に病気はなかった。
晶葉は感染者なので隔離されると思っていたが、みんなと同じ飴みたいな薬を渡されて終わった。
ちひろさんの発見した薬で通称あんず病は完全に克服されたそうだ。
ただ定期的に薬の摂取が必要なのと、数を賄うほどの設備が整っていないため
外での生存者探索は行っていないそうだ。生存するための犠牲だ、とちひろさんは言っていた。
町はまだ決して大きくは無い。だけどここから人類は再出発する。
再開した桃華は私達にそう語った。かつての文明は崩れ去り、今では財閥の一人娘ではなく
ただの櫻井家の一人娘になってしまった桃華だが、本人はさほど気にしていないようだ。
離島で過した後、食料が尽きかけたためこちらに戻ってきた際、この町を見つけ
今は動物の世話を仕事にしていると言っていた。
プロデューサーは薬の製造に関わっているらしい。自身が抗体持ちなのも関係しているのだろう。
あの時、咄嗟に私達に隠れるように言ってしまったが、それがなければみんなここに連れてこれた
かもしれない、と涙を流して謝罪してきたので生きてるからいいじゃない、とみんなで許すことにした。
そして――。
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