過去ログ - 【ゆるゆり】BAR Funamiの日常
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81:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/09(月) 01:50:44.41 ID:Ms5wpsxYo
あかね「その雰囲気はすぐに感じ取れたわ。見ているとどうもそのお店は、固定客へのサービスにばかり執着していて……バーテンがお客よりも大きな声をあげておしゃべりなんかしちゃって、新規のお客に疎外感を感じさせるタイプのお店だったの」


あかね「その女性バーテンダーは、どうやら同僚たちから厄介者扱いされていてね。目に見えてひどいことをされていたわけではなかったけど、無視だとか……陰湿ないじめを受けていた。私にはそれがわかったわ」


あかね「新規客の相手を押しつけられる様にあてがわれてて、びっくりするほど色の無い顔をしていたのをよく覚えてる」


あかね「でももっとびっくりしたのは……その人が、私のよく知る女の子だったこと。あの時は結衣ちゃんもびっくりしてたわね」

結衣「……そうですね……///」

京子「マスター……」


あかね「結衣ちゃんはあかりの昔からの幼馴染なの。子供の頃は私もよく一緒に遊んだわ……大人になって、昔からの憧れであるバーテンダーになれたってのは聞いてたけど、まさかそのお店で再開するなんて思ってなかった」


あかね「でも、もっと動揺していたのは結衣ちゃんのほう。夢を叶えてその職業についたのに、まさか現場ではひどい扱いを受けているなんて……そしてそれを私に見られてしまったことに、慌てるどころか絶望すらしていた」


あかね「いたたまれないとは思いながらも注文したわ。結衣ちゃんはその当時からすごくいい手さばきでね、思わず見入っちゃった。お酒の味だって一流だったのよ」


あかね「でもやっぱり……私はあかりと遊んでいる頃の元気な結衣ちゃんを知っているもの。私の家に遊びに来て、楽しそうにミックスジュース作って、あかりに振舞ってるその顔をよく覚えてる……だから、悲しげな顔で作られたカクテルを心からおいしいとは思えなかった」


あかね「そう言ってあげたら、結衣ちゃんはとうとう泣き出しちゃったわ。溜め込んできたものにヒビが入って決壊するようにね……私は自分の待ち合わせの用事も忘れて、結衣ちゃんの手を引いてそのままホテルまで連れ帰った。そこで詳しい事情を聞いたの」


あかね「結衣ちゃんはね、そのときからすでに新人バーテンダーのグランプリで優勝するほどの腕前だったんですって」

京子「えっ!」

ちなつ「そんなにすごいのに……なんでお店では……」

あかね「嫉妬の対象だったのよ。そして紅一点のバーテンダーということもひとつの理由……私はなんとか結衣ちゃんの力になってあげたかった。だって結衣ちゃんは何も悪くないんだもの!」


あかね「これだけの腕があるんだから、他の所でもやっていけるのにと思ったわ。でもあのお店は結衣ちゃんの修行先として、結衣ちゃんの恩師に紹介を受けて入ったところだから、情けない形で店を出て行くわけにはいかないんだと言われてね……」


あかね「そんなとき、私の視界にカフェの件の書類が入ったの。『これよ!』って思ったわ!」

京子「ま、まさか……」


あかね「『私が結衣ちゃんのためにバーを作ってあげる!』……って言ったときの、結衣ちゃんのぽかんとした顔は今でも忘れられないわ」くすっ

結衣「……///」


あかね「そこまではカフェをイメージしたお店作りだったんだけど、バーとしてイメージチェンジしても何の問題もなかった。私が結衣ちゃんをマスターとして引き抜いてあげる! ってすぐに約束しちゃった。あの時は私も勢いに乗ってたわね〜」

ちなつ「そんな急なひらめきだったんですか……」

あかね「あら、でもやるからには本気よ。そこからは私も今まで以上にお店作りに気合を入れたわ。結衣ちゃんが寂しくないように、毎日バーにも顔を出したりしてね」

あかり「おねえちゃんたちに、そんなことが……」


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