19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:58:09.06 ID:fk92G9zco
私が馴染みのあるこの部屋の姿を思い出す。こんなに整頓されたところは見たことがない。
普段そこまで汚いわけでもないが、いつも読みかけの漫画や適当に脱いだ靴下などが片付けられずに散らかっているのが常だった。しかし机の上も本棚も、何もかもがきちんと片づけられており……先のリビングと同じように、誰かがいた痕跡を感じさせてくれない。
確かに京子の部屋なのに、京子がいた名残が微塵も感じられない。
その寂しすぎる光景に……今まで頑張って抑えていた涙がついに決壊してしまって、京子の部屋の床にぽたぽたと落ちた。
結衣「ぁぁ……ぁっ……」
世界の全てを探したわけではなかったが……感覚ですべてがわかってしまった。
この世界には、誰もいない。
きっと私の友達も、私の親も、町を歩く人さえ一人もいない。
京子は、いない。
結衣「……うぅぅ……ぁぁ……っ///」
熱い涙がとどまることなく溢れてくる。ぽつ、ぽつと涙の粒が床にぶつかる音と、かすれた泣き声だけが空虚な部屋に響く。それが自分の寂しさを際立たせて、さらに激しく泣いてしまう。
京子はいない。
京子は、もうどこにもいない。
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