2:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:46:20.46 ID:fk92G9zco
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私が送った返信メッセージに既読がついて3秒も経たないうちに、家のチャイムが「ぴん……」と鳴った。
「えっ!?」と思いながら玄関の方を見る。ボタンを引く際の“ぽーん”がまったく鳴らないことで、懐疑の念は確信に変わった。「おかしいだろ……!」と一人突っ込みながら急いで扉に向かう。
「今からそっち遊びに行ってもいい〜?」とのメッセージが来たのがつい3分ほど前。あいつの家からうちに着くまで、乗り物を使ったって3分で到達するのは不可能だ。まずそもそも私の部屋がある階層まで上るのに時間がかかる。となると、あいつはどうやらこの建物の昇降口も突破したところでそのメッセージを送っていたらしい。
そして私の「いいよ」という返信が読まれてすぐにこれだ。いったい何分前からうちの玄関の前にいたというのだろうか。
結衣「…………」がちゃ
「いよーっす! 今日大丈夫なんだよね?」
玄関を開けるとやはり、チャイムを押えていた指をぽーんと離して快活に手を挙げる京子がいた。
結衣「おいおい……私が今日大丈夫じゃなかったらどうするつもりだったんだ?」
京子「えへへ、そしたら結衣に気づかれないように大声で泣きながら帰ってたかな」
結衣「いや家の前で大声で泣いてる人がいたら気づくだろ」
京子はすたすたと私よりも先を歩いて部屋に入り、背負っていたぱんぱんのリュックをリビングの端っこにするりと下ろした。
結衣「今日はまた大荷物だな」
京子「色々持ってきたよ〜! お菓子でしょ、ゲームでしょ、漫画でしょ、お菓子でしょ、あとお菓子と……」ぽいぽい
結衣「お菓子何個あるんだよ」
リュックの中身を取り出しては放り散らかす京子。肝心の着替えが入ってないぞと言おうとして、うちのクローゼットにまだ何着か京子の服があったのを思い出した。私でさえ忘れかけていたそれを計算にいれた上で持ってきていないのだとしたら……まったくこいつは、図々しいの域を軽く飛び超えている。
だが京子のそんな気遣いのまったくないところに、私もどこか嬉しさを覚えていた。
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