40:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:10:09.25 ID:BRoeWTnho
――――――
――――
――
―
結衣「っ……」
気が付くと……自分の部屋にいた。
部屋は夕陽に照らされ、起き上がったところには昨日から出しっぱなしのゲーム機が置いてあった。京子が昨日プレイしていたものだ。
結衣(昨日……?)
なんとなく昨日のことだと思ったが……正確には今がいつで、あの時京子と過ごした時間がいつのものかもわからない。
夢でも、現実でも、どうでもいい。
ここにも……京子はいなかった。
結衣「…………」
テーブルの上には京子が持ってきたお菓子の残骸が少しちらかっている。京子がよくやる袋の開け方をしていた。京子の名残は他にもあちこちに見受けられたが、私の心は依然として「この世界に京子はいない」と信じてやまなかった。
結衣(どうすれば……会えるんだ……)
完全な無音の世界で、目を閉じて京子のことを考える。思い出の中の京子はいつも笑顔だった。目を閉じればそれが思い描けるのに、目を開けると誰もいない。
ならば目を閉じようか? 何も見ない方が幸せというなら、辛く悲しい現実に目を向ける必要はない。京子が世界のどこにもいないのなら、思い出に作り上げた幻想でもいいから、“京子”がいる方へ行けばいいのではないか?
京子、教えてくれ。
私は、どうすればいい?
京子「…………」
結衣「っ!!」
思い出の中の京子が、何かを喋った。
思わず目を開けて飛び起き、必死にイメージの京子を思い起こす。
京子が何かを伝えてきていた。京子はこっちを見ていた。京子は私に笑いかけていた。
何も聞こえなかったが……何かを京子から受け取ることができた。
私はどうすればいいのか……
私は、私にできることをやるしかなかった。
56Res/70.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。