124:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:29:28.73 ID:D4qOgycfo
◇
そんなことがあったから、放課後になってもすぐに部室に顔を出す気にはなれなかった。
かといって他に行き場もないし、部屋に帰るつもりもなかった。
125:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:30:57.88 ID:D4qOgycfo
そんな気分のときにこの屋上に立っていると、決まって彼が現れる。
「ひさしぶりだな」
126:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:31:56.18 ID:D4qOgycfo
「鷹島 スクイ」
と彼はずっと前、俺に名乗った。
「変な名前」と思わず口に出したら「俺のせいじゃない」と彼は笑ってた。
127:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:32:28.44 ID:D4qOgycfo
「きみね、協調性とかないの?」
「協調性っていうのは、自分の判断や価値観や物事の正否の判断を一旦留保して、周囲の流れに合わせる能力のことか?」
128:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:33:34.16 ID:D4qOgycfo
さて、とスクイは梯子の上から跳ね降りる。
結構な高さだというのに、なんてこともなさそうに。
「俺は行くよ」
129:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:34:00.84 ID:D4qOgycfo
ドッジボールで勝利するのはドッジボールに熱中して楽しめる奴だ。
「そもそもなんでドッジボールなんてしなきゃいけないんだ?」なんて考えはじめる奴は、残念だけどドッジボールの勝者にはなれない。
たぶん、次からは誘ってももらえなくなるだろう。
130:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:35:12.56 ID:D4qOgycfo
スクイが去ってしまってから、俺はいくつかのことについて考えた。
姉のこと、みんなのこと、スクイのこと、
るーのこと、
131:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:35:55.92 ID:D4qOgycfo
「どうしたの」と俺は近付かずに声をかけた。
「佐伯先輩が、きっとここにいるだろうって」
132:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:36:25.10 ID:D4qOgycfo
そういえば。
ポスターを拾われたとき以来か。彼女とふたりきりになったのは。
「景色を見ていたんですか?」
133:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:37:03.17 ID:D4qOgycfo
「部室、いこっか。暗くなってきたし」
結局何も言えずに、俺はフェンスに背を向けて、扉へと向かった。
134:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:37:47.92 ID:D4qOgycfo
どう応えるべきか、迷った。
彼女の表情は、よく見えない。
何を俺に伝えようとしているのか、分からない。
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