130:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:35:12.56 ID:D4qOgycfo
スクイが去ってしまってから、俺はいくつかのことについて考えた。
姉のこと、みんなのこと、スクイのこと、
るーのこと、
を、考えはじめた途端、鉄扉がぎいと音を立てて軋んだ。
振り返ると、そこには思い浮かべたままの顔が立っていた。
息を切らせて、肩を上下させて、いかにも階段を駆け上ってきたという風情。
彼女は屋上に昇って、いま俺の前にいる。
夕日を正面から浴びた彼女の表情は、ちょっと苦しげだった。
たいした距離じゃないのに、どれだけの勢いで走ってきたんだか。
そういえばあの子は、運動が得意じゃなかったかもしれない。
彼女の表情は夕日で橙色に染まっていたけど、彼女から見たら、俺の顔は逆光でよく見えなくなっているだろう。
逆光の中に、影法師みたいに映っているはずだ。
誰そ彼。
屋上の縁、フェンスの傍に俺は立っている。
そこから、入り口の鉄扉まで、距離は短くもないけど、長くもない。
その距離のまま、彼女は息を整えて、俺はその姿をじっと眺める。
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