過去ログ - 屋上に昇って
1- 20
130:名無しNIPPER[saga]
2015/11/22(日) 17:35:12.56 ID:D4qOgycfo

 スクイが去ってしまってから、俺はいくつかのことについて考えた。
 姉のこと、みんなのこと、スクイのこと、

 るーのこと、

 を、考えはじめた途端、鉄扉がぎいと音を立てて軋んだ。

 振り返ると、そこには思い浮かべたままの顔が立っていた。
 息を切らせて、肩を上下させて、いかにも階段を駆け上ってきたという風情。

 彼女は屋上に昇って、いま俺の前にいる。 
 夕日を正面から浴びた彼女の表情は、ちょっと苦しげだった。
 たいした距離じゃないのに、どれだけの勢いで走ってきたんだか。

 そういえばあの子は、運動が得意じゃなかったかもしれない。

 彼女の表情は夕日で橙色に染まっていたけど、彼女から見たら、俺の顔は逆光でよく見えなくなっているだろう。
 逆光の中に、影法師みたいに映っているはずだ。

 誰そ彼。

 屋上の縁、フェンスの傍に俺は立っている。
 そこから、入り口の鉄扉まで、距離は短くもないけど、長くもない。

 その距離のまま、彼女は息を整えて、俺はその姿をじっと眺める。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/782.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice