過去ログ - 屋上に昇って
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186:名無しNIPPER[saga]
2015/11/26(木) 23:51:19.78 ID:KuRGWnJ0o




 そして翌週の放課後になると、嵯峨野先輩は文芸部の部室に長い時間居座るようになった。

「入部しちゃおうかなあ」なんて冗談めかして笑う表情はいかにも好青年的な爽やかさ。
 
 それでも「ぜひそうしてください」って声を掛けるような部員はひとりもいなかった。
 かといって嵯峨野先輩が来ることに文句を言う奴もいない。

(なんせどうでもいい)

 とはいえ、嵯峨野先輩の高森に対するアプローチは誰から見ても分かりやすかったために、
 高森だけがやたらと疲弊する結果になった。

 二日目には嵯峨野先輩は高森のことを「蒔絵ちゃん」と呼び始めた。

 この人すげえな、と俺とゴローは感心していた。

 感心しつつ、スルーしていた。




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