過去ログ - 屋上に昇って
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194:名無しNIPPER[saga]
2015/11/26(木) 23:55:43.23 ID:KuRGWnJ0o

 俺はポケットから携帯を取り出して、佐伯の参加を高森に伝えた。 
 ポケットにしまいなおすと、携帯がすぐにブルっと震える。
  
 やけに早いな、と思って取り出して画面を見ると、メッセージの主は高森ではなかった。

『秋津 よだか : こっちは雨です。』

 メッセージと一緒に、どこかの屋上からの景色が添えられている。
 暗く立ち込める雲の下、雨の街は薄暗くて、いま見ている空と繋がっているなんて、うまく想像できない。

 でも、それはたしかに、いまこの瞬間、遠い街でたしかに存在する景色なのだ。
 本校舎の屋上で、いまも誰かが楽しげに昼食をとっているんだろうとも思う。
 たぶん、この場所の雰囲気とは、まったくちがうかたちに。

「佐伯って、きょうだいいる?」

「兄がいます」

 彼女はなぜか敬語だった。俺は肩をすくめる。

「仲良い?」

「どうかな。基本的には好きだよ……その分、憎らしくなるときがあるかも。浅月は一人っ子だったよね?」

「うん。まあ、たぶん」

「……どういう意味?」

「いろいろあるんだよ」

「……そっか。まあ、いろいろあるよね」



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