265:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:03:13.35 ID:NdAUtaeco
まあいいや、と俺は割り切って、別の話を振ることにした。
「部誌の原稿、調子どう?」
266:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:03:41.50 ID:NdAUtaeco
「浅月はどうなの?」
「俺はまだ白紙」
267:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:04:09.36 ID:NdAUtaeco
どうでもいい会話が途切れたタイミングで、高森がやってきた。
どいつもこいつも、自分のクラスに話し相手がいないのか、と思う。
……もちろん、いるんだろう。べつに、ここじゃなくてもいい。ここだっていいけど、ここじゃなくてもいいのだ、みんな。
268:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:04:36.04 ID:NdAUtaeco
◇
昼休みに東校舎の屋上へ向かうと、鷹島スクイは当たり前のような顔で立っていた。
269:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:05:26.15 ID:NdAUtaeco
「佐伯ちえも、林田吾郎も、由良めぐみも、一見強そうだ。軸がぶれない。周囲に影響されない」
そういうふうに見える、と鷹島スクイは言う。
270:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:05:59.78 ID:NdAUtaeco
部誌にあげる原稿なんて、みんな、娯楽作品として書いているつもりはない。
ただ、自分が書きたいもの、書こうと思えるものを、書く。
それが誰にどう思われるかどうかなんてこと、いちいち気にしない。
271:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:06:26.94 ID:NdAUtaeco
どこかで分かってるんだろ、と鷹島スクイは続けた。
「そんなものを読んだ相手が、どんなふうに感じるか。本当は予想がついてるんだ。
おまえだって、べつに誰かに読んでほしいわけじゃない。でも、腹の底に溜め込んでもいられない。
272:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:07:00.17 ID:NdAUtaeco
答えられずに、話をする。
「遠足が、あるだろ」
273:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:07:45.50 ID:NdAUtaeco
「そう、変なんだよ」
そんなことを考えなければ、見ないふりをしていれば、知らないふりをしていれば、人は幸福でいられる。
隠されていたもの、裏側にはりついていた影、マジックミラーの向こう側。
274:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:08:18.36 ID:NdAUtaeco
◇
不意に、物音が聞こえた。
275:名無しNIPPER[saga]
2015/12/07(月) 23:08:58.46 ID:NdAUtaeco
「俺らのことバカにしてる気がするんだよな。自分たちが書いてるものが正当で、俺らのことお遊びでやってるとか思ってそう」
「そっかなあ。被害妄想じゃねえ?」
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