過去ログ - 屋上に昇って
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894:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:16:02.61 ID:7uTUbjIMo

 包み込むように、寄る辺を求めるように。
 これは夢だ、と、俺は思う。

 夢だから。
 俺は彼女の手を、握り返してしまった。

 寄る辺を求めるように、包み込むように。

「――え?」
 
 と、るーの手がこわばる。

「あ、れ……タクミくん?」

 るーの緊張した声に、俺の意識は急に浮かび上がる。
 現実感。

「どしたの、るー?」と、すず姉の声。

「タクミくん、あの、ひょっとして……起きてませんか?」

 気だるい瞼を、俺は開いてみる。
 真上から、るーがこちらを覗き込んでいる。

 俺の頭は、どうやらるーの膝の上にあるみたいだ。

 俺は手を伸ばして、るーの頬に触れた。
 さかさに見える彼女の表情は、あっというまに赤く染まった。

「あ……う」

 と、変な声をあげる。

 俺はからだを起こそうとして、
 鋭い頭痛に力を奪われた。

「……あ、はは」

 思わずごまかし笑いが出る。

「……あたま、ズキズキする……」

「……の、飲み過ぎですよ!」と、るーは慌てた声でそう言った。



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