893:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:15:25.05 ID:7uTUbjIMo
同じくらいの寂しさを抱えた人を、
似たような痛みを知っている人を、
人は好きになる。
「……寂しさ」、と、すぐ近くでるーが呟いたのが分かった。
小さい声だったから、俺以外の誰も気付かなかったかもしれない。
静かに、俺の手の甲に、何かが触れる。
きっと、指先だったのだと思う。
「……寂しそうだから、好きになる」
小さな声で、るーは言う。
「……ひょっとしたら、これも血筋なのかな」
自問のような声には、敬語はついていなかった。
血筋、とるーは言う。
半分だけの繋がりを、それでも彼女は血と呼んだ。
その言葉の自然さに、俺はなんだか泣き出したくなった。
あまりにあたりまえみたいに言うから。
彼女はきっと、本当にそれをあたりまえに思っているから。
そのことが嬉しい。
どうしてなのかも、わからないけど。
彼女が、そのようにあることを、俺は途方もなく嬉しいと思う。
そういう子でよかった、と思う。
「ほっとけないって、そう思います。でも……同情なんかじゃ、ないみたいですよ」
また、そう小さく呟いて、
るーは、
俺の手を覆うように握った。
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