過去ログ - 屋上に昇って
1- 20
893:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:15:25.05 ID:7uTUbjIMo

 同じくらいの寂しさを抱えた人を、
 似たような痛みを知っている人を、
 人は好きになる。
 
「……寂しさ」、と、すぐ近くでるーが呟いたのが分かった。
 小さい声だったから、俺以外の誰も気付かなかったかもしれない。

 静かに、俺の手の甲に、何かが触れる。 
 
 きっと、指先だったのだと思う。

「……寂しそうだから、好きになる」

 小さな声で、るーは言う。

「……ひょっとしたら、これも血筋なのかな」

 自問のような声には、敬語はついていなかった。
 血筋、とるーは言う。
 
 半分だけの繋がりを、それでも彼女は血と呼んだ。
 
 その言葉の自然さに、俺はなんだか泣き出したくなった。
 あまりにあたりまえみたいに言うから。
 彼女はきっと、本当にそれをあたりまえに思っているから。

 そのことが嬉しい。
 どうしてなのかも、わからないけど。

 彼女が、そのようにあることを、俺は途方もなく嬉しいと思う。
 そういう子でよかった、と思う。

「ほっとけないって、そう思います。でも……同情なんかじゃ、ないみたいですよ」

 また、そう小さく呟いて、
 るーは、
 俺の手を覆うように握った。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/782.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice