17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 21:51:37.99 ID:U3uWc7f60
「美希ちゃん、すごく似合っているわ……」
「ありがとうなの。ミキも、すごくいい感じだって思うな。美容師のお姉さんのおかげだね」
美容師の感嘆を背に、美希はにっこりと笑った。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 21:53:26.02 ID:U3uWc7f60
美希の髪染めが終わり、店を出た頃には、空は真っ暗になっていた。
「美希ちゃん、もう遅いし、帰った方がいいんじゃない?」
「うん。小鳥、また一緒に遊べる?」
19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 21:54:47.60 ID:U3uWc7f60
美希の家族は、彼女の予想通り、驚くほど平然と髪色の変化を受け入れた。両親は美希の髪を受容するばかりか、二人そろって褒めちぎるのであった。
「ミキね、最初はどの色にしようか迷ってたの。でも、小鳥っていうお姉さんが美希の髪の色を決めてくれたんだよ」
美希も嬉しそうに両親に髪の色を変えたきっかけを報告するのであった。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 21:57:05.15 ID:U3uWc7f60
また、学校でも美希の金髪は黙認されるに至った。
黙認こそされていたものの、生徒の間では教員は会議を開いて美希の髪について審議したという噂が流れていた。
しかし、話に尾ひれがついたのか、
「保守的な教頭が反対していたが、一部教員から『美希が机に突っ伏しているときの姿がまるで巨大な金色の毛虫に見え、えもいわれぬ癒しである、これをなくしてしまうのはもったいない』と猛反対され、そのまま押し切られた」
という嘘か本当かも分からない内容になっており、真相は藪の中となってしまっている。
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:01:03.73 ID:U3uWc7f60
「小鳥、久しぶりだね。あと、そこの人、こんにちは」
喫茶店で小鳥に話しかける美希であったが、今回は小鳥のほかにもう一人の女性がいた。
その女性は青と白の縞模様のブラウスにスカートといういでたちで、何よりも目を引くのは眼鏡の奥の大きな瞳であった。
その瞳は聡明そうな印象を与えた。そして、まっすぐに射貫くような視線は思わず身構えてしまう力を持っていた。
22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:02:47.17 ID:U3uWc7f60
「そこの人、じゃないわ。私は秋月律子、小鳥さんの同僚よ」
「美希ちゃん、前も言ったけど、私たちは765プロダクションっていう芸能事務所で働いているの。律子さんが美希ちゃんに会いたいっていうから、連れてきちゃった」
小鳥が申し訳なさそうに美希を見たが、美希は笑って答えた。
23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:04:55.82 ID:U3uWc7f60
「律子って面白い服着てるね。ミキ的にはあんまりイケてない感じだけど、律子には凄く似合ってるって思うな」
「なっ……!」
律子は小鳥の腕をつかんで美希にそっぽを向き、小声でまくしたてた。
24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:08:15.52 ID:U3uWc7f60
「どうしたの、律子?急に小鳥とひそひそして、ミキつまんないの」
律子は美希に向き直ると、こほん、と小さく咳をした。
「ごめんね美希、少し話すことがあったの。ところで、今日の予定は決めてる?」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:10:26.80 ID:U3uWc7f60
「ひっ!……わかったの。小鳥〜、律子……さんがいじめるの」
「律子さん、あまりいじめないであげてね」
「いじめてないですよ!社会常識を教えるための愛の鞭ですから」
26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:12:21.81 ID:U3uWc7f60
「食べ物は無しよ。あと、律子『さん』!」
まったく、と呟きながらカウンターへ向かう律子を見て、小鳥は美希に言った。
「美希ちゃん、律子さんは少し厳しいけど、悪い人じゃないのよ。私たちのことを本気で考えてくれる優しい人なの」
27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/24(火) 22:14:10.84 ID:U3uWc7f60
「ほら美希、飲み物買ってきたわよ」
「ありがとうなの!律子……さん」
飲み物を受け取る美希を見て、律子は小鳥と目くばせをした。
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