過去ログ - テレパシーが使える女子に会った話
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1: ◆D0ZmUeXKaGxm[sage]
2015/11/25(水) 02:11:44.71 ID:hLrZ9hYBo
初めての部活は美術部に入った。
本当は写真部がよかったんだけど、
ここには写真部がなかったから、
似てるんじゃないかと思った美術部に入ったんだ。
部員は少なかった。
俺のクラスの美術部員は俺だけだった。
活動する時間は放課後。
活動に使える教室は4つ。
俺は、その中で1番高い階にある教室に行くことにした。
白紙のプレートのある扉を開くと、
そこには1人の女子生徒がいた。
彼女は、教室の中に1つだけある椅子と机を窓に向けて、
その上で絵を描いていた。
俺が扉を開く音に反応して、
彼女がゆっくりとした動きで俺を見る。
窓から差し込む夕日に照らされて、
彼女の姿は赤く色付いて見えた。
「こんにちは」と挨拶をしてみると、
彼女は静かに会釈を返して、
自分の作業に戻った。
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2: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/25(水) 02:24:53.72 ID:hLrZ9hYBo
少し戸惑ったけど、
開いた扉をただ閉めて去るというのも変な話だし、
美術部らしき彼女と話をしようと思った。
「あのー」と、会話を始めようとすると、
3:名無しNIPPER[sage]
2015/11/25(水) 02:42:14.76 ID:ra8lGZHBo
期待
4: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/25(水) 02:52:50.89 ID:hLrZ9hYBo
訪れる静寂。
まあ、元から音を発していたのは俺だけだったんだけど。
彼女がノートを閉じて俺の顔を見る。
5: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/25(水) 03:20:40.06 ID:hLrZ9hYBo
翌日。
俺は、言われた通りに椅子と机のワンセットを持って教室へ向かった。
扉を開くと彼女の姿はなく、
席だけが昨日と同じ場所にあった。
6:名無しNIPPER[sage]
2015/11/25(水) 07:41:44.68 ID:yuWYyRLLo
期待
7:名無しNIPPER[sage]
2015/11/25(水) 09:58:41.81 ID:a7jl0rOP0
支援
8:名無しNIPPER[sage]
2015/11/25(水) 10:08:33.34 ID:4kINo83NO
乙期待
9:名無しNIPPER[sage]
2015/11/25(水) 10:56:47.79 ID:ePWsCj2W0
テレパシー少女蘭
10: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 17:37:30.48 ID:8Pdip540o
彼女の机の上にはスケッチブックがあった。
表紙には、リスが鉛筆を抱えているイラストが描かれていた。
この可愛いげのある表紙の裏には、
彼女が今まで描いてきた絵があるのだろう。
11: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 17:42:22.00 ID:8Pdip540o
とりあえず何か会話をしようと思ったんだけど、
えっと、とか、
あのー、とか、
そんな言葉しか出なかった。
何か考えておくんだった。
12: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 18:01:33.78 ID:8Pdip540o
むしろ、その喋れないことが気になってるんだけど、
まあ、喋れない人間だっているだろう。
変な話だが彼女の声は聞こえているから問題ない。
そうだ、声は聞こえているんだ。
13: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 18:26:44.61 ID:8Pdip540o
こういうの、テレパシーっていうんだよな。
実在したのか。
俺も彼女にテレパシーを送ろうとしてみたら、
やはりというか何も聞こえないようで、
14: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 18:57:30.02 ID:8Pdip540o
しかし今は美術部。
彼女が、何も始めようとしない俺に疑問を持つのは早かった。
なにもしないの?
15: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 19:10:55.83 ID:8Pdip540o
次の日、俺は森に入った。
彼女の見たい景色を探しに行った。
小川を見つけてその上に立ったとき、
彼女と同じ気持ちになった気がした。
16:名無しNIPPER[sage]
2015/11/26(木) 19:14:03.47 ID:v/kTbOu0o
石英の人?
17: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 19:47:56.32 ID:8Pdip540o
「あったよ」と、彼女に写真を差し出す。
受け取った写真を見る彼女の表情が明るくなる。
「スゴイ」
18: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 20:49:09.00 ID:8Pdip540o
それから俺は彼女の色んな絵を見た。
そして色んな写真を撮った。
埃の積もった古時計。
紫陽花の葉に乗るカタツムリ。
19: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 22:31:27.86 ID:8Pdip540o
そこには洋館があった。
白い壁に黒い屋根、
上品な窓の、高級そうな家。
その家の隣に文字が書かれる。
20: ◆D0ZmUeXKaGxm[saga]
2015/11/26(木) 22:59:02.94 ID:8Pdip540o
2ヶ月が経った。
彼女の描いた絵はもう最後になっていた。
綺麗に描き直した絵をあげたいから、ちょっと待っててね。
彼女にそうお願いされてから、俺は自分の撮りたい写真を撮った。
21:名無しNIPPER[sage]
2015/11/29(日) 12:38:53.84 ID:Q/XEAJ/nO
乙
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