過去ログ - 橘ありすの冬の旅行について
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/11/28(土) 01:29:04.81 ID:vPNJbZvW0
 
 東京の羽田空港から北海道の新千歳空港まで、一時間半。そこからここまでさらに電車で一時間と十三分。

 私の故郷の兵庫からは、距離にして、えぇと、一四五〇キロメートル。

 手袋をしていても、タブレットに触れる手が冷える。雪が降る二月の北海道は空気がシンと冷えて、ブーツで雪を踏むとキシ、という音がする。

 駅舎を出れば地面も空も一面真っ白で、駅前の古びたビルもそこに溶け込んでいくようだった。

 駅からまっすぐ伸びたゆるい下り坂の先には、雪で白くちらつく濃い藍色が見える。

 冬の日本海は、青というよりも限りなく黒に近くて、白と黒のコントラストのなかに真っ白なアナスタシアさんが立っていた。

「北海道の中でも、ここはチョープルイ……あったかいほう、です」

 なんてアナスタシアさんは言うけれど、マイナス三度が暖かいわけがないでしょう。

 こうして私は、アナスタシアさんの住んでいた街、小樽に来た。



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