16:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 01:02:23.45 ID:6wSbO7neo
そう。
俺は根本的に間違っていたのだ。
平塚先生ーーー平塚静という人物に『期待』するあまり、『この人はそんな回りくどい事をしない』と勝手に思い込んでいたのだ。
しかし、教師も一人の人間であると云うように、平塚静も一人の人間である。
職場での評価や、同僚との人間関係、職務責任などを気にしていて当然なのだ。
「平塚先生……俺は…」
その時、俺は感情が少し高まっていた。
脳が酸素を求め、喉元に異物があるような苦しさがあった。
ああもう……本当に嫌になる。
他人と正面から向き合うのはこんなにも難しいのか。
「俺は……先生にそんな人間であってほしくない……!」
「………比企谷」
「俺の知っている平塚先生は、イジメが発覚した時点で、真っ向から向き合って、犯人も、その被害者も同等に正しく導こうとする……!!」
イジメる側と、イジメられる側、どちらに問題があるかと、よく議論されているが答えは簡単だ。
それはどちらにも問題がある。
俺の理想とした、期待していた平塚先生ならば、きっとその両者を真っ向から正しく導くはずだ。
イジメる側には、イジメをしないように。
イジメられる側には、イジメられないように。
例えばそう、俺を更正する為に奉仕部に入部させたように、何らかの手を打ち導くはずだ。
だから俺は唯一弄した策を提示する。
「だからこれは俺からのお願いです。俺の単なる理想の押し付けです」
「…………」
「俺の期待に答える為に……俺の理想とする平塚先生のやり方で、イジメを解決してください」
「………比企谷…君は…」
そして先生は「はあ」と大きなため息をついて僅かに頬を緩め笑った。
「全く……君の純心さには敵わないよ………」
「俺が純心なわけないでしょう」
「ははっ。そうかもしれない。しかし生徒にそんなことを言わせるなんて私も教師失格だな」
「いや先生ほどの教師は他にいませんよ」
俺は皮肉混じりに笑った。
「すまなかったな……比企谷。余計な気を回させて」
「やめてくださいよ」と俺は顔の前で軽く手を降った。
「わかった。他でもない君からからお願いされたら仕方がない。私のやり方で解決してみせる」
そう言って笑った平塚先生の目元は、西日に照らされて何かが光っていたような気がした。
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