487: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/05/01(日) 23:52:01.17 ID:amZw1Cmy0
出港してから1時間、時刻は4時を回ったところであった
最後に無線標識が検知された地点を中心に捜索を続けているが、めぼしい成果はあげられていない
彼女が消息を絶ってから既に6時間近くが経過し、乗組員も焦りを隠せなくなってきている
自分も例に違わず、艦橋を任せて甲板まで降りてきていた
「……どうだ?」
いつかと同じように、隣には双眼鏡をのぞいた仙田の姿があった
異なるのは、彼が手摺りを握る力は焦燥感からくるもので、その眼前に広がるのは深い藍色に塗りつぶされた海のみであることだった
問いかけに応じないことから、おそらく何も発見できていないのだろう
甲板には他にも双眼鏡をのぞく隊員の姿があるが、誰も声を上げる気配は無かった
(まだなのか……)
気が付けば、こぶしを強く握りこんでいた
大見得切って出て来たくせに何も見つけらないのか
あの時と同じうように自分は誰も助けることが出来ないのか
何もできない自分に憤り、奥歯を噛みしめていると、不意に鈍い振動を感じる
原因を探ると、ポケットに入れていた無線呼び出し器が受信のランプを点灯させて震えていた
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