527: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/05/29(日) 23:00:40.89 ID:3rTWVY4V0
大久保に『そうか』と返すと、再び正面の煙幕に目をやる
それは風が凪いだ洋上で今だ色濃く残り、その内にいる敵の姿を覆い隠してた
捜索の間は感謝していた穏やかさもこの期に及んではいじらしい
弾薬の数も限られている以上は無闇に見えない敵へ撃ち込むわけにもいかない
ただ時を待つことしか、今の自分たちにはできない状況であった
『アレが当たったんなら俺達の勝ちだ』
『技本の「妖精さん達」は気に食わない連中だが、持ってる技術は確かだ』
『あのミサイル一基だって、敵の主力級を葬れる火力は持っている』
『まぁ……ここまで煙ってるのは煙幕の具合なんて考えずに作った所為だろうがな』
待っているだけの現状に痺れを切らしたのか、通信機の向こうから兵曹長の声が聞こえる
かなり楽観的な見方だが、一概に間違っているともいえない
事実、敵の覆う煙幕の天蓋は未だに晴れる気配を見せず、その爆発の威力を窺わせている
なによりも自分自身がその状況を望んでいた
「少尉、左舷砲門より入電です」
突然、小林が入電を知らせる声が響く
長い沈黙で少し緩んでいた艦橋の空気が一気に張りつめた
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