528: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/05/29(日) 23:04:05.31 ID:3rTWVY4V0
「……繋ぎますか?」
そんな空気を察したのか、小林は躊躇するように入電の許可を求める
敵健在の報が飛んでくる未来が脳裏をよぎり、一瞬取るのをためらう
しかし、直ぐにその考えを振り払い、小林に取次ぐように指示を出す
勝手な理論で報告を聞き流すよりは些細な事でも情報を仕入れた方が良いに決まっているはずだ
『少尉、野田です』
通信の主は自分も良く知っている野田上等水兵だった
彼は甲板の射撃部隊に加わっており、今の今まで機銃で敵に斉射を加えていたはずだ
その野田がわざわざこちらへ連絡を寄こすということは、敵の動きを捉えられたのだろうか
『敵の状況は……』
だが、そんな見立てに反して野田は伺うように敵の状況を確認してきた
もし敵の挙動を報告するのなら、そんなことを聞いてくるのはおかしい
それに、緊急の連絡にしては妙に冷静な口調だった
野田の行動に対する疑念が広がっていくが、今は仲間を疑っているような状況ではない
彼にとって何かを判断するのに必要な情報なのだろうと、艦橋で把握している限りの状況を説明してやる
『やはり……そうですか』
『なら、敵は沈んでいません』
説明を聞いた野田は何か納得したように相槌を打ち、宗方とは正反対の結論を出す
ある種確信めいた言い方をする野田に艦橋がざわついた
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