600: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/09/24(土) 20:09:21.31 ID:tZaL5E9A0
「まだ諦めるには早い」
こちらの考えを見透かすように、その声は語りかけてくる
先ほどとは打って変わって穏やかな口調には確かな自信と静かな闘志を湛えていた
ハッと頭を振り上げて、声がした方向へ振り向く
「そうですよね? 少尉」
そこには口角を上げてこちらを見返す井上の姿があった
朝焼けに染まったその顔は、まだ勝利を諦めていない戦士の顔だった
その顔に敗北を考えることの愚かさを悟り、彼に全てを託す決心をした
「井上、後はお前に託す」
「好きなようにやってみろ」
気づけばそんなことを言っていた
ここまで来ると完全に指揮官としての仕事を放棄しているといっても過言ではないだろう
だが、四の五の言っている時間は無かった
敵が必中の射程圏に入るのは直ぐであり、ここで敵に肉薄できなければ持ち前の機動力で煙に巻かれてしまう
「了解!」
こちらの言葉に力強く返事を返した彼は、通信手へと同僚の通信手へと向き直る
「小林、投錨要員を手配してくれ」
「チェーンカッターを持たせて、右舷側の錨をおろせ」
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