618: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/10/23(日) 10:05:23.87 ID:Jj5KE7Sa0
(来たッ!)
待ちに待った知らせに、反射的に体が動く
伸ばしかけていた手が一気にマイクまでの距離を縮めると、それを口元まで手繰り寄せる
「日下部!」
そして、気が付いたときには通信相手の砲撃主の名を叫んでいた
集中しているのか彼からの返事は聞き取れない
だが、もはやこれ以上の言葉は必要ない、後は日下部を信じるだけだ
「大久保、どうだ?」
敵の動向を逐一観察し続けている観測手へ声を掛ける
「まだ攻撃態勢が整っていません」
「行けます! 行けますよ!」
声をかけられた大久保は興奮した調子でこちらを振り向く
彼に『そうか』と言葉を返して、窓の向こうを臨む
水面には薄灰色の肌を燃えるような紅色に染めた敵の姿があった
朝焼けの海に、異形ともいえる姿をした敵、そんな現実離れした風景に目を奪われる
一寸先も分からない生と、背後まで忍び寄っている死
決定的に分けられない生と死の未来が混在するここは、あの世とこの世の境界線なのかもしれない
果たして目の前に立つ『鬼』は地獄の獄卒か、それとも現世に迷い込んできただけの子鬼か、
「主砲、発射を確認!」
それを決める一発が今、放たれた
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