658: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2017/01/15(日) 13:06:05.66 ID:riSoZa5X0
「中尉は私も……」
「私たちも、こんな風に思い出してくれますか?」
彼女の瞳の先には、つい今しがたまで自分がいた下山田の墓石を見つめている
相変わらず仏頂面が張り付いていたが、その瞳だけはかすかに潤んでいるように見えた
それは表情をつくるのが苦手な彼女なりの精一杯の感情表現なのだろう
だからこそ、安易な答えに走るのは許されない
軽く息を吐いて気を引き締めると、ゆっくりと首を横に振る
「そう……ですか」
揺れる瞳をもどして、彼女は自分へと向き直る
感情表現が豊かでないとしても、明らかに落ち込んでいることは分かった
だから、もう一度『違う』と否定する
「俺は君たちを沈ませない」
「過去の思い出なんかに君らを追いやるつもりはない」
「だから、俺には君の希望に応えるてやることはできないのさ」
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