659: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2017/01/15(日) 13:32:04.53 ID:riSoZa5X0
気がつけば、空を仰いでいた
ガラになく格好をつけたことを口走ったおかげで、彼女を直視することができなかった
今の自分がどんな顔をしているのかも、彼女がどんな表情をしているかも分からない
『大見得を切りすぎだ』と非難する自分もいれば、『よく言った』と褒める自分もいる
前回の戦いが偶然の産物だというのは己が一番よくわかっている
しかし、だからといって曲げられないものがあるのは自分も同じだ
正直に言って、この先どうなるかなんて誰にもわからない
もしからしたら自分の前にいる少女との約束も破ってしまうかも知れない
「でも、今はこれで良いさ」
誰にも聞こえないように小さくつぶやくと、視線を戻す
そこには少し驚いたような顔の少女が立っていた
「ほら、行くぞ」
何かを言いたげな彼女が口を開く前に制する
これ以上、今の台詞について詮索されるのは勘弁願いたかった
戸惑う彼女に構わず、さっさと通りへ降りる石段を目指して歩き出す
そんな石段の先に見える空には、抜けるような青が広がっていた
おしまい
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