過去ログ - 少年「アメジストの世界、鯨と踊る」
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29:名無しNIPPER[saga]
2016/02/06(土) 22:50:20.15 ID:3/c7AnEm0
店主「寒い中待たせてごめんね。珈琲は大丈夫かい?」スッ
少年「あ、はい。いただきます」
店主「……さて。まずはさっきの事だけどね」
店主「やっぱり、白い鯨は居たんだね」
少年「!!」
店主「前、姪がうちの親父に聞いたんだよ。「白い鯨を見た事があるか」ってね」
店主「それを聞いて、「どうしてそれを! 誰に聞いたんだ!」って怒鳴っちゃって」
店主「そこからはもう頭ごなしに「あれは災厄の化身だ」とか言いたい放題」
店主「姪はどこかで見たんだろうね。きっと感動してただろうに……それを否定されたもんだから」
店主「今日も少し「鯨、見たいなぁ」って言ってるのを聞かれて、……まぁ、あんな感じさ」
少年「……」
店主「あの子はね、繊細な子なんだよ」
店主「ただ……少し、素直になれないだけで」
店主「どうも学校でいじめられていたみたいで、人に壁を作っているんだ」
店主「お願いがあるんだ。どうか、あの子の心を解いてやってくれないか」ペコ
少年「え?」
店主「大人の僕には、やはりどこかで壁が出来ているんだ」
店主「鯨を見た君なら、何か通じる物があるかもしれない……情けないが、頼れるのは君だけなんだ」
少年「……はい、僕、行った場所に心当たりがあります!」タッ
店主「……頼んだよ」
店主(情けないな。結局、彼女を守ってやれるのは、子供の彼だけなんだ)
店主「何だろうね、この感じは」
店主「大人になるにつれて、心の何処かで何かを失っていくんだ、僕らは」
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