過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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39:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:30:27.11 ID:JH8XbMho0

「だから、思い出してください――御坂さん」

少しずつ、確実に、美琴の記憶の殻が壊されていく。
満杯の杯を揺らされたように、ギリギリで保たれていた均衡が崩れて。
その中から零れ出てくるのは、きっと透明な涙なんかじゃなくて。

「貴女は見ていたはずだ」

そうだ、見ていたはずだ。
自分と同じように、あの血まみれの惨劇を。

ピクリと、美琴の体が震える。もう限界が近いのだろう。
もうやめろ、と心の内で誰かが叫んだ。まだ間に合うから、もうやめてくれ。
そんな悲鳴を、懇願を、全身全霊で踏みにじる。
彼女のためには、自分自身の気持ちですら切り捨てると、決めた。
あの日、決めたのだから。

そうして彼は、決定的な言葉を、紡いだ。



「あの人の――10032号の最期を」



そして、絶叫が轟いた。
そんな美琴を、エツァリは悲しそうに眺めていた。
これを見るのは二回目だ。
二度と、見たくなんてなかったのに。

――本当に、なんでこうなってしまうのだろう。



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