11:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:43:17.21 ID:iLRizJ7Q0
のぞき穴からインターホンを鳴らし続ける来訪者を確認する。
赤いキャップを被り、大きな段ボール箱を抱えている。
顔は見えないが、ご苦労なことだ。
この寒いなかで待たされるとは。
残念ながら徒労に終わるのに。
12:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:48:03.41 ID:iLRizJ7Q0
チェーンによって少しだけ開いたドアの隙間から声が聞こえてきた。
俺はその声に応えることはできなかった。
その声が聞こえてきたのと同時にドアの隙間から光が俺の部屋に入り込んできたのだ。
13:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:48:36.44 ID:iLRizJ7Q0
視界が光に飲み込まれていく。
途端に足下がグラつき、倒れそうになる。
立ち眩みだ。
壁にもたれかかろうとしたが、倒れる方が先だった。
これはヤバイ…。
14:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:49:34.21 ID:iLRizJ7Q0
ー部屋の外、冬の空の下ー
「今日は12月23日。やっぱり明日の方がよかった…?慌てん坊のサンタクロースは流行らないのかな…。」
赤いキャップは冬の冷たい風によってどこかへ飛ばされていった。
15:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:50:48.34 ID:iLRizJ7Q0
まず最初に感じたものは上からの圧力、いや自分の体重だった。
僕は膝から崩れ落ちた。
額から嫌な汗が流れ出す。尋常じゃない量だ。
さっきまで感じていた感覚のせいだけではない。
16:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:52:33.32 ID:iLRizJ7Q0
さっきまでアパートでインターホンを鳴らし続ける奴の相手をしようとしたはずだ。
なのに、気がついたら何もない寂れた空き地に僕はいた。
汗が背中からも吹き出してくる。
流れ落ちる汗が頬を伝った。
てゆうか…
17:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:53:52.89 ID:iLRizJ7Q0
「あっつ!!」
暑い、熱い!
頭上には照りつける太陽があった。
18:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:55:47.86 ID:iLRizJ7Q0
とりあえず状況を冷静に分析?
状況、俺は走っている。
理由もわからず走っている。
今なら虎になれそうなぐらいに。
19:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:56:18.40 ID:iLRizJ7Q0
走っているといっても久しぶりの運動のせいで高齢な方の朝のジョギング程度のスピードしかでていない。
情けないことだ。
年と運動不足のせいだ。
タバコは吸わないんだが…。
数年前の俺ならこんなことは…。
20:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:58:09.87 ID:iLRizJ7Q0
あてもなく走り続けていて、ふと冷静になる。
アパートがなくなっていた。
走りだした俺は他の変化について何も思わなかった。
まずは辺りを確認するはずだ。
しかし、それすらせずに走りだした。
21:名無しNIPPER[saga ]
2015/12/25(金) 20:59:12.55 ID:iLRizJ7Q0
いや、何も思わなかったんじゃない。
違和感がなかった。
あまりにも違和感がなかったのだ。
僕の見知っている町並みだった。
僕は完全に引きこもっていた訳ではないが、ヒキコモリハーフだ。
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