過去ログ - この世の果てへと至る旅路
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32:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/06(水) 22:21:25.02 ID:Z5pVxAxlo
「ありがとうございました」

 僕はおじいさんに深々と頭を下げた。
 もう動けないとまで思っていた体の疲労は大分解消されている。
 その代わり逆にもう動きたくないと言う感情も湧いてきたが。

「……行くのか」

 おじいさんは先輩と僕を交互に見てから呟くように言った。
 こんな時間に出歩いている理由は聞いてこない。
 聞かれても困るけど。

「ありがとう、おじいさん」

「……うむ」

 おじいさんは何か言いたげに見える。
 だが何も聞いてこない。
 理由も無く助けるはずがない、というのは僕が捻くれているだけなのだろうか。
 外へと向かう先輩の背中を見ながら僕は財布を開けた。

「……いらん」

 既にお札に指を掛けていた僕。
 その言葉を聞いて財布から手を離すとおじいさんの方を向いた。
 正直、状況を考えると素直に受け入れるのが正しいのだが。


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