42:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:20:28.72 ID:bauBs7zr0
「やっぱり行くのやめる」
響は身体を震わしながら、ぽつりと洩らしました。
「響」
43:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:20:55.33 ID:bauBs7zr0
「相変わらず響は嘘が下手ですね」
「うそじゃない」
「いいえ」
44:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:21:26.06 ID:bauBs7zr0
響は膝を抱え、頬を濡らしています。
わたくしは響の頭に、額を合わせました。
「頑張るのでしょう」
45:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:21:52.97 ID:bauBs7zr0
響は顔をぐちゃぐちゃにしながら、あの頃の様に、わたくしに抱きつきました。
わたくしも全身で響を抱きしめます。
本当に、大きくなりました。
46:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:22:21.01 ID:bauBs7zr0
そうして、わたくしは響の背中を見送りました。
いえ、背中ではありません。
その小さな体がもっとずうっと小さくなって、ついに見えなくなってしまうまで、響はずっとこちらを向いて、手を振り続けました。
最後の最後にも、太陽の様な笑顔を、わたくしに見せてくれました。
47:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:22:49.67 ID:bauBs7zr0
わたくしは、泣きません。
如何なる時でも気高く、そして荘厳に在れ。
大丈夫です、じいや。わたくしは今でもちゃんと龍の子です。
48:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:23:16.22 ID:bauBs7zr0
あれからどれだけの月日が経ったのでしょうか。
49:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:23:42.28 ID:bauBs7zr0
そんなことは、もう分かりません。
沢山泣いたせいで、大きな声をあげることも出来ません。
背中のツバサも、もうわたくしを空へと導いてはくれません。
50:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:24:15.99 ID:bauBs7zr0
今のわたくしを見たら、じいやは怒るでしょうか。
わたくしのことを叱るでしょうか。
いえ、それももうしてはくれないでしょう。
51:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:24:43.97 ID:bauBs7zr0
じいやがみえます。
こんなわたくしにもじいやはなぜだかわらっています。
きいてください。
52:名無しNIPPER[saga]
2015/12/27(日) 15:25:18.83 ID:bauBs7zr0
おねがいです。
すべてをうしなってでも。
わたくしのすべてをうしなってでも。
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