12: ◆c4DUj3OH/.[sage]
2015/12/31(木) 12:18:51.34 ID:YFxFRnZkO
提督「これは……何だ?」
俺の目の前には、物体Xとも呼ぶべき何かが、皿に盛られて置かれていた。
比叡「比叡特製カレーですが?」
そんな当たり前のことをなぜ今更聞くのかとばかりに、物体X、どうも比叡特製カレーというらしい、の製作者。比叡は答えた。
提督「……カレー……か」
俺は、ヘレンケラーが初めて水をwaterと認識したときのような新鮮さと驚きを持って、カレーという言葉を口にした。
というのも、俺の眼前に置かれたそれは、色こそカレーであったが、それ以外は世間一般で言うそれとは大きな隔たりがあったからだ。
提督「なぁ、榛名。これはカレーか?」
たまらず俺は、本日の秘書官としてそばに控えていた榛名に問いかけた。
榛名「え!? は、はい! 榛名は大丈夫です!」
もはや答えになっていない。
比叡「やだなぁ司令。どう見てもカレーじゃないですか。ね、榛名?」
榛名「は、はい! 比叡お姉さま。は、榛名は大丈夫です!」
比叡「ね、司令。榛名もカレーだって言ってますよ?」
いや、言っていなかった。
このまま榛名に問い続けても大丈夫ではあるまい。
そこで俺は比叡に問うことにした。
提督「なぁ比叡。いったい何を入れた?」
比叡「司令の好きな物しか入ってませんよ?」
ああ、うん。
確かに俺は、苺も好きだし、チーズケーキも好きだ。
シュークリームも、大福だって好きだ。
だがな、比叡。
提督「なぜ苺、チーズケーキ、シュークリーム、大福をカレーに入れようと思ったんだ?」
比叡「そんなの決まってるじゃないですか!」
提督「決まってる?」
比叡「そうです。好きな物に好きな物を入れたらより美味しくなるからですよ!」
「比叡、気合い! 入れて! 作りました!」という言葉は聞き流した。
提督「なぁ、榛名。カレー、食べられるか?」
榛名「い、いえ。榛名は本当に大丈夫です!」
ああ、うん。
正しい“大丈夫”の使い方だ。
だがな、榛名よ。
日本語というのは難しいものだ。
提督「そうかそうか。榛名はカレーが食べたいか、なら」
榛名「い、いえ! 榛名は大丈夫です! それにそれは、比叡お姉さまが提督のために作られた物。勝手に榛名が食べるわけにはいきません!」
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